デザインの仕事を20年近く続けてきた人ほど、いまのAIの進化はこたえるはずです。何年もかけて身につけた技術が、数秒で、しかも日に日に上手くなっていく道具に追いつかれていく。そう感じて、手が止まってしまう日があっても不思議ではありません。
最初に伝えたいのは、その落ち込みは、真剣に作ることに向き合ってきた証拠だということです。どうでもいい仕事をしてきた人は、ここまで揺さぶられません。
消えたのは技術ではなく、技術の使い道
AIが作れるようになったのは、60点から80点のデザインです。一方で、何を良しとするかを判断し、最後の20点を磨き込む力は、長く作ってきた人の中にこそあります。手を動かして形にする時間は減っても、その判断の力は、これまで以上に必要とされていきます。
作る量では勝てなくなった。でも、何がよいかを知っている量では、まだ負けていない。
今日からできる、3つのこと
- AIを「ライバル」ではなく「若手」として扱う任せる範囲を決め、出してきたものを、いつもの後輩へのレビューと同じ目で直してみる。
- 自分の判断を、言葉にしておくなぜこの余白なのか、なぜこの書体なのか。言葉にした判断は、AIへの指示にも、チームへの説明にも使えます。
- 隣の領域を、ひとつだけ触ってみる動画、コピー、マーケティング。時間が空いた分だけ、手の届く範囲は広がっています。
焦って全部を追いかける必要はありません。まずは、自分の審美眼がまだ役に立つ場所を、ひとつ確かめるところから始めてみてください。